「毎日生きるのに必死で楽しさとか感じている余裕がない」
今回はそんな人がちょっと一息つくのにオススメの漫画を紹介します。
それは高野文子さんの『るきさん』です。
高野文子さんは漫画家・イラストレーターで、作品の発表数が少ないなかでも毎回画風を変えたり、さまざまな表現手法を試したりすることで知られている作家さんです。
2023年には『黄色い本』で第7回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞されています。
『るきさん』を読めば疲れて凝り固まった頭や心もほぐれること間違いなしです。
1巻完結で気軽に読めますので、さっそくどんな作品なのか見ていきましょう。
漫画『るきさん』
推定30代独身一人暮らしの女性 るきさんが主人公で、バブル時代を背景にるきさんの気ままな独身生活が描かれています。
1988年から1992年まで雑誌『Hanako』にて連載されました。
1話が見開き2ページの16コマで構成されていて、基本的に1つの話のなかでストーリーが完結します。
『るきさん』登場人物
- るきさん 30代半ばと思われる独身の女性で一人暮らしをしている。体型はポパイの恋人オリーブのようなやせ型。在宅で医療保険の請求業務をしている。趣味は読書、切手集め。
- えっちゃん るきさんの親友でOLをしている。同じく独身で一人暮らし。るきさんとは対照的にファッションやグルメなどのトレンドに敏感。部下の小川くんが気になっている。
『るきさん』の魅力
- 時代を先取りした働き方
- 柔軟な思考のお手本
- ゆるやかな女の友情
- オールカラーでおしゃれな配色
1.時代を先取りした働き方
るきさんは在宅で医療保険の請求業務をしていますが、1ヶ月の仕事を1週間で終わらせてしまって、そのほかは図書館に行ったり、ちょっとお出かけに行ったりと悠々自適に過ごしています。
そして月末になって、今仕事が終わったと婦長に連絡するちゃっかりした部分もあります。
30年も前に「働き方改革」を実践しているるきさん。
真似したくなる働き方です。
2.柔軟な思考のお手本
るきさんも私たちと同じ変わらない日常を送っていますが、発想が豊かです。
あるときはお風呂に入りながらコーヒーを飲み、このまま一日お風呂で過ごすのもいけるかもしれないと空想します。
またあるときは雨で洗濯物が乾かないからと下着の上にエプロンやレインコートを着て済ませてしまいます。
そして夜パジャマを着てほっとする。
るきさんには「こうでなくてはいけない」ということがとても少ないのかもしれません。
私は思考が固いタイプなので、その時その時を思ったように過ごす生き方に憧れますね。
3.ゆるやかな女の友情
るきさんの登場人物はとても少なく、るきさん単体かるきさんと親友えっちゃんによるエピソードがほとんどです。
当時は携帯電話がないのでお互いに家にいることを予想して訪ねていきますが、そういう気の置けない友達がいるといいですよね。
体調不良のときはお見舞いに行ったり、お互いの誕生日を祝ったり。
私が好きなエピソードはるきさんの誕生日にえっちゃんが一日家事をプレゼントするというものです。
ふとした瞬間にえっちゃんがおならをしてしまうのですが、るきさんは「それくらいの不幸があったほうがちょうどいい」とゆるりと返します。
今のせかせかしがちな時代に必要な人物だと思いますよ、るきさんは。
2人は何かと一緒に過ごすことが多いのですが、さっぱりした関係なのもいいんですよね。
オールカラーでおしゃれな配色
『るきさん』はちくま文庫から出ています。
オールカラーで配色もおしゃれなので(今はやりのシティーポップみたいな感じ。伝わるでしょうか)見ていて楽しいですよ。
2015年には筑摩書房より新装版が刊行されていて、るきさんの後日談が描かれているそうです。
まとめ:『るきさん』には毎日を軽やかに過ごすヒントがちりばめられている
『るきさん』は忙しさのなかで寛容さや柔軟さを失っているときにぱらっとめくるとホッとできるような本です。
ものごとにとらわれすぎずに毎日を軽やかに過ごすヒントが見つけられると思います。
軽いので持ち運びにも便利ですよ。
ぜひご一読ください。
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