時々読み返したくなる漫画の一つがCLAMP先生の『東京BABYLON』です。
陰陽師の主人公が東京で起こる怪奇現象や霊的事件を解決するストーリーで、1990年から1993年に連載されました。
CLAMPの初期の代表作といわれています。
30年前の作品ですが自殺やいじめなど現代に通じる社会問題が幅広く描かれていて、とても考えさせられる内容になっています。
今回『東京BABYLON』について紹介しようと思ってネットを見ていたら、偶然にも来月から東京タワーで同じくCLAMP作品の『X‐エックス‐』(長期に渡り休載中)とともにイベントが開かれるんですね。
『X‐エックス‐』は昔パラ読みしたことがありますが、ヒロインの子がわりと初期でグロテスクな死に方をしてトラウマものでした・・・。
私はCLAMP先生はこの2作品あたりの絵柄が好きです。
この記事では『東京BABYLON』の魅力や登場人物の名言を取り上げたいと思います。
『東京BABYLON』あらすじ
主人公・皇昴流は陰陽師一族の若き当主。
明るい双子の姉・北都と皇家に敵対する強大な力を持ち、かつ残忍な暗殺集団といわれる桜塚護の跡取りで獣医師の桜塚星史郎に見守られながら、日々家業に励んでいる。
星史郎は暗殺集団の跡取りとは思えない穏やかな人物で常に優しく、昴流が窮地に陥った時は手助けもする。
昴流は幼いころに桜の花が綺麗に咲くのはその下に死体が埋まっているからだという青年と出会う。
桜の下にいる人たちは苦しくないのかと問う昴流に青年はある「賭け」を持ちかけるが、昴流はその青年が誰だったのか思い出せない。
青年はどことなく星史郎に似ている気がするがイメージはかけ離れている。
『東京BABYLON』登場人物
- 皇昴流 主人公。16歳。遥か昔から日本を霊的に守ってきた『皇一族』の13代目当主。陰陽師の頂点に立つ実力を持つが、性格は真面目で至って謙虚。動物が好きで心優しい。明るく破天荒なタイプの北都と自分のことが好きだと迫る星史郎に押され気味。現役高校生だが除霊の依頼が多く、学校の出席日数が足りずに進級が危ぶまれている。祖母から両手の手袋を決して外すことのないように言いつけられている。(個人的に皇昴流という名前、響きが好きで漫画キャラで未だに超える存在が出てこない)
- 皇北都 16歳。昴流の双子の姉。陰陽師として自身も修行をしてきたが、2、3の術が使える程度。性格は弟とは対照的にハイテンションでポジティブ。格好も蝶々の羽根を背負っていたり、ウサギの耳をつけていたり奇抜なものが多い。昴流の服のコーディネートも担当している。昴流とは同じマンションにそれぞれ部屋を借りて住んでいるが、しょっちゅう弟の部屋に転がり込んでいる。夢は団地妻になること。昴流と星史郎の仲を煽るなどして楽しんでいる。
- 桜塚星史郎 25歳。人を殺めるために陰陽術を使う暗殺集団『桜塚護』の跡取り息子。普段は新宿で動物病院を経営している獣医師。眼鏡をかけていて高身長。ふだんはおとぼけキャラで昴流に対して「僕ってセクシーですか?」「僕は昴流くんが好きですよ」と迫る。昴流の仕事に同行し、昴流を助けることもある。
『東京BABYLON』の魅力を10個あげてみた
- カラー絵が綺麗で画に力強さがある。
- 成人男性のしっかりした体格。
- 主人公の清潔感、イノセントな雰囲気。
- 高校生の双子の姉弟と成人男性の組み合わせが新鮮。
- 現代にも通じる社会問題について描かれている。
- 人間の弱さや愚かさに共感を覚える。
- 基本的に1話完結だが、いまいちなエピソードがない。
- 初期のほのぼのした3人と救いのないラストとの対比。
- 毎回変わる双子のファッション。
- 昴流と北都の仲良し姉弟。
上記にはあげませんでしたが、本気なのかギャグなのかわからない昴流と星史郎のBL感も好きですよ。
この2人の関係は一言で表すのは難しいものがあるのは最後まで読んでいただければわかると思います。
北都ちゃんはTHE・いいお姉ちゃんです。
星史郎とのことで弟をからかってばかりいるように見えますが、弟のことをとても大切に思っているのが端々に伝わるキャラクターです。
真理をついている? 桜塚星史郎の名言を紹介
![](https://okomoriblog.com/wp-content/uploads/2023/10/juniperphoton-Km-whjQRN1c-unsplash.jpg)
『東京BABYLON』では印象的なセリフがたくさん出てくるのですが、今回は愛蔵版1巻から星史郎のセリフを紹介します。
VOL.1/BABELより
東京タワーの展望台にあらわれる自殺した売れない女優の霊を除霊するエピソードです。
最後のチャンスと思っていた映画出演が主演女優のわがままで中止になり自殺してしまった女優の霊は、なぜ自分だけこんな目に合うのか、才能があって有名なら他人に迷惑をかけても許されるのかと訴えます。
自殺をした貴女も他人に迷惑をかけたと冷静に言う星史郎が続けて投げかけるのが次のセリフです。
生きていくと言うことは『夢』だの『理想』だのとは全く遠い
どれだけ人に『迷惑』をかけてそれを『許して』もらえるかにかかっているのかもしれない
出典:CLAMP『東京BABYLON』愛蔵版1巻
子どものころは夢や理想を掲げることが大切だというように教わりますが、大人になると叶わない経験もしますし、努力をしたからといって必ず報われるわけではないことも知ります。
「努力は報われる」が持論の人もいますし私もそう考えるタイプだったのですが、色々ありましてここ数年は努力しても報われないこともたくさんあるのだと考えが変わりつつあります。
どうしたって周りに迷惑もかけてしまうことも感じています。
人同士が生きていく限り迷惑をかけたら一言「すみません」と言うことは必要だと思うのですが、迷惑をかける・かけられるのは当たり前だと考えられる人が私も含めて増えたらいいのかなと思います。
VOL.3/CALL.Bより
ダイヤルキューのパーティーラインに集う女子学生のエピソード。
ダイヤルキューというのは過去に実際にNTTが提供していたサービスで決められた電話番号にかけると大人数と話ができるそうです。
自分たちは『前世』から選ばれた『戦士』で『特別』だという女子学生に対して星史郎が言うセリフがこちら。
この世で一番偉いのはちゃんと地に足がついて一生懸命日々『普通』に『生活』している人たちです
(~中略~)
貴方たちはその『普通』の人たちと同じように『生きて』いけるんですか?
出典:CLAMP『東京BABYLON』愛蔵版1巻
私も「何か秀でたものがないといけない」「周りと違った部分を持っていたい」という思考に悩まされてきたタイプなので『普通』になりたくないという女子学生の気持ちはわかる部分は多いんですよね。
現在無職の私ですが働いていた頃はそれが当たり前で、仕事はきついことも多かったけれど特別偉いとかすごいとか思っていませんでした。
ですが、いざ仕事を失ってみると嫌だ嫌だと言いつつ働いていた毎日も自分が一生懸命維持してきた貴重なものだったのかもしれないと思います。
優しい昴流に対して星史郎のセリフは現実的で容赦がないものが多いので刺さりますね。
星史郎がただの穏やかな獣医でないことは1巻の時点で明らかです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
90年代初期の携帯電話も普及していない時代の話ですが、人間の悩みというのは時が経って社会が変化しても変わらないものなんだなと感じさせられます。
ストーリーが最初から最後までまったくだれずにずっと面白く名作だと思いますので、興味の湧いた方はぜひ読んでみてください。
私が読んだのは愛蔵版(全3巻)ですが、2022年には新装版(全7巻)も出ています。
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