「東京BABYLON」
これほど衝撃的な結末を迎えた作品を私は他になかなか知りません。
愛蔵版の最終巻である第3巻は「CLAMP先生、この作品って少女漫画で合ってますよね?」と思わず聞きたくなるような過酷な展開が待っています。
読者をじわじわ上げて一気に落とすジェットコースターのような展開は、連載から30年経っても色褪せません。
1巻、2巻についても記事を書いていますので興味のある方は先にそちらをお読みください。
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「東京BABYLON」愛蔵版3巻 あらすじ
風邪をひいた昴流は病院で腎臓病で透析通院中の少年・勇弥と知り合う。(愛蔵版2巻)
勇弥の母は腎臓移植を待ち望んでいるがドナーは一向に現れず、同じ病で娘も亡くしているため焦燥感に苦しんでいた。
昴流は勇弥のために腎臓を提供したいと考え病院を訪れるが、勇弥の容態が急変し、勇弥の母は息子のために腎臓がほしいという思いがゆえに昴流にナイフで襲いかかる。
勇弥のためならと抵抗しない昴流だったが、間に入った星史郎が昴流を庇ったことで右目を負傷し失明してしまう。
自分を責める昴流は星史郎に泣きながら謝罪するが、星史郎は自分が勝手にやったことで昴流に責任はないという。
昴流が星史郎のことを『特別』だと思っていることを確信した北都は、星史郎のことをどう思っているのか自分でちゃんと考えるように昴流に伝える。
昴流は星史郎が刺された時のことを思い返し、自分が星史郎のことを『好き』だったと気付くが、そこに『賭』の決着をつける時が来たと星史郎が現れる。
昴流と星史郎。お互いが『特別』なのに相容れない2人の道。
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『賭』の決着と言われてもピンときていない昴流に星史郎は7年前のビジョンを見せます。
昴流が9歳、星史郎は18歳のときですね。
陰陽術で人を殺す『桜塚護』である星史郎は子供を殺したところを昴流に見られてしまったため、その記憶を消します。
星史郎の「桜が綺麗なのはその下に死体が埋まっているからだ」という言葉に対して、「桜の下にいる人は苦しくないのか」と返す昴流。
自分と正反対の綺麗な心を持った昴流に関心を抱いた星史郎は、また2人が会うことがあれば1年間だけ一緒に過ごそうと提案するのでした。
さらに、星史郎はある『賭』を持ちかけます。
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1年間だけ。できるだけ君を『好き』になるよう努力する。
『好き』になれたら君を殺さないけど、『好き』になれなかったら殺す。
なんとも一方的な、とも思いますが本来なら昴流はその場で殺されていてもおかしくなかったですからね。
場面は戻って現在。
人間と物の区別がつかず誰を殺しても何も感じないという星史郎は昴流の腕をへし折ります。
精神的なショックの大きい昴流は星史郎にいくら蹴られても抵抗ができません。
星史郎は本当に昴流のことを何とも思っていなかったのか
連載から30年経っているので昴流と星史郎については多くの方が考察されていると思いますが、私も。
星史郎は昴流のことを『特別』には思えなかったと話していますが、7年前に昴流を見逃した時点で星史郎にとって昴流はすでに『特別』になっていたのではないかと思うんですよね。
生まれながら人を殺めることを定められた自分の運命を昴流なら変えることがあるかもしれないと。
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はじめて『特別』だと思った人に裏切られる昴流はかわいそうでしたね。
北都を含めた今までの3人の関係を思うと悲しいですが、ハードな展開には目が離せません。
弟を生の世界に連れ戻すため命をかけた北都(ネタバレあり)
※ネタバレをしているため、原作を未読の方はこの先を読まないほうが楽しめると思います。
祖母により星史郎の術が破られ間一髪助かった昴流でしたが、何も食べず何も話さず抜け殻のようになってしまいます。
北都は危険な人物と気付きながら星史郎を昴流に近付けたことを悔やみます。
昴流をこんな目にあわせて一人だけ幸せにはなれないという北都。
クローゼットから昴流の式服を持ち出し、「戻ってきて」という言葉とともに姿を消します。
それから1カ月が経ち、昴流は北都が星史郎に殺されるビジョンを見ます。
それは現実でした。
昴流は星史郎を殺すことを誓い、本編は幕を閉じます。
再読して北都の魅力を改めて実感
北都が死んでしまうラストは初めて読んだときも衝撃的でした。
ダークな話も多いなかで作品が暗くなりすぎなかったのは彼女の明るいキャラクターがあったからだと思います。
はじめから一貫して弟を大切に想う姿が描かれていて(それが悲劇の一因になってしまったわけですが)、同じく弟がいる身としては勉強させられました。
まとめ
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いかがでしたでしょうか?
東京BABYLONの物語は完結しましたが、昴流の物語はX‐エックス‐へと続きます。
X‐エックス‐は未完という理由で手が伸びなかった(あとパラ読みしたときに封真が好きになれなかった)のですが、記事を書いているうちに気になってきたので近いうちに読みたいと思います。
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