『夜明けのすべて』瀬尾まいこ(著)を読む

私は男性アイドルグループのSixTONESが好きなのですが、来年2月にメンバーの松村北斗くんが出演する映画『夜明けのすべて』が公開されます。

注目は、今作はNHK連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』で夫婦役を演じた上白石萌音さんとの再共演でW主演になります。

映画公開に向けて原作を読んだので、あらすじや良かったところを紹介したいと思います。

原作は瀬尾まいこさんによる同名の小説で、PMS(月経前症候群)を患う女性 美紗とパニック障害を患う男性 山添の2人が主人公です。

私自身も明確に診断されていないもののパニック発作を経験したことがあるので、特に山添の心情には共感する部分が多かったです。

生活に支障が出るほどではなくても、何かしら不調を抱えながら働いている人は多いと思います。

『夜明けのすべて』はままならない体や心と付き合いながら生きる人にやさしい光を灯してくれるような一冊です。

目次

『夜明けのすべて』あらすじ

勤務先の人たちの理解を得られながらも、月に1回のペースで訪れるPMS(月経前症候群)の影響で怒りやすくなってしまう美紗は、如何にもやる気がなさそうな山添に八つ当たりをしてしまう。パニック障害になってしまった山添は生きる希望すらも見失ってしまう。互いに恋愛感情や友情すらも感じていないのに、いつしか2人は互いの心の病を治せるのでは、それぞれに助けられるのではと思い始める。

Wikipedia『夜明けのすべて』概要より引用

『夜明けのすべて』登場人物

  • 藤沢美紗 栗田金属社員。ふだんは相手に気を遣うタイプだが、生理前はPMSの影響で怒りっぽくなる。
  • 山添 栗田金属の新入社員。美紗の3歳下。声が小さく動きも緩慢で先輩社員とも交流を持とうとしない。パニック障害を患っている。もともとは社交的で身なりにも気を遣っていた。
  • 栗田 栗田金属社長。鷹揚な性格。「無理なくけがなく安全に」が朝の挨拶の恒例。
  • 住川 栗田金属の女性社員。はきはきしていて世話好き。
  • 平西 栗田金属の社員。おしゃべりで周りを笑わせるタイプ。
  • 鈴木 栗田金属の社員。黙々と作業をするタイプだが、不愛想ではなく優しい。

栗田金属は社員6名の小さな会社で、雨どいや瓦などの建築資材や、釘や針金などの金物をホームセンターなどに卸す仕事をしています。社員は60歳前後の男性が中心です。

『夜明けのすべて』のここがオススメ!

  • 美紗と山添が互いを助け合う始まりである「髪の毛カット」
  • パニック障害になった人の心情が丁寧に描かれている
  • 友情でも恋愛でもない関係

美紗と山添が互いを助け合う始まりである「髪の毛カット」

美紗と山添はとあることがきっかけで互いの病気を知ることになります。

現実なら「そっかあ。お互い大変だけど無理せず頑張ろうね。」で終わりそうですが、美紗は山添の伸び切った髪の毛をカットするために山添の部屋に突撃します。

パニック障害になると美容院や歯科など自由に身動きができない場所が怖くなることがあるため、山添は髪型にも無頓着にならざるを得なくなっていたんですね。

いくら全く意識していない相手とはいえ、異性の部屋に急に上がり込む美紗(しかも散髪セットを持って)はなかなかの人物だと思います。

美容師の経験があるわけでもない美紗によるカットは案の定な出来栄えになってしまいますが、その髪型を鏡で見た山添は大爆笑します。

パニック障害を発症してからずっと笑えていなかった山添がお腹を抱えるほど笑うシーンには、「山添~、良かったねえ」と愛おしさを感じました。

パニック障害になった人の心情が丁寧に描かれている

作者の瀬尾まいこさんもパニック障害になった経験をお持ちで、『夜明けのすべて』はその経験がモチーフになっているそうです。

本作は小説ですがパニック障害になった人がどんなことで苦しむのかがよく描かれていて、疾患の理解にもつながると思いました。

私も数年前に突然死んでしまうんじゃないかという強い不安に襲われたことが何度かあり、あれはパニック発作だったのではないかと思っていますが、不安が強すぎて今まで出来ていた色々なことが怖くなっていってしまうんですよね。

パニックの症状が落ち着いている今でも人と約束することや美容院や歯科が苦手なので、山添の気持ちがよくわかるなと思いながら読んでいました。

私のところには残念ながら美紗のような人が来てくれないので、毎回美容院や歯科に行くときは前もって苦手であることを伝えるようになりました。

友情でも恋愛でもない関係

本当に悩んでいることって「こんなこと話して嫌われたらどうしよう」などと思ってしまって、近しい人にはかえって言えないという人もいるのではないでしょうか。

『夜明けのすべて』を読んで、美紗と山添のように友人でも恋人でもないけど知り合いくらいの距離感の人のほうが話せたりすることもあるのかなと思いました。

美紗と山添のお互いに別に好意はないけど私は(俺は)あなたのことを助けられますという関係性が読んでいて面白いし心地良いんですよね。

まとめ

私は映画のキャスト情報を見てから、山添=松村北斗としか思えなくなりました。

個人的にはかなりマッチしたキャスティングではないかと思っているので公開が楽しみです。

美紗は原作だと山添より年上なので、上白石さんのお姉さんっぽい演技が見られるのかなと思っています。

病気を取り扱った小説ですが、希望を感じられる内容になっていて文章もすっと入ってきて読みやすくオススメですよ。

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この記事を書いた人

駆け出しのブロガー。30代女性。気分変調症で療養中。社会復帰の一歩としてブログを始める。前職は医療事務。読書と映画鑑賞が趣味でオススメの作品を紹介。

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