横尾龍彦-瞑想の彼方(埼玉県立近代美術館)を観に行く

芸術のことはよくわかりませんがたまに展覧会に出かけるのが好きです。

近くで何かやっていないかなと探したところ、埼玉県立近代美術館(さいたま市浦和区)にて『横尾龍彦 瞑想の彼方』という展示が開催されているのを知りました。

横尾龍彦さんという画家は知らなかったのですが、瞑想の彼方という展覧会のテーマに惹かれました。

最近さぼり気味ですが、休職してから自分でもアプリを使って瞑想をしていたので、この横尾さんという人がどんな絵を描くのか、瞑想の彼方とはどういうことだろうと気になったのです。

今回は実際に鑑賞してどんなことを感じたのかレポートしていきます。

まずは美術館の基本情報からどうぞ。

目次

埼玉県立近代美術館

住所 〒330-0061 埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1

交通案内 JR京浜東北線北浦和駅西口より徒歩3分(北浦和公園内)  

駐車場 なし。提携駐車場「三井のリパーク 埼玉県立近代美術館東」では駐車料金の割引あり。体の不自由な方は業務用駐車場の提供あり。要事前連絡。

開館時間 10時~17時半(展示室への入場は17時まで)

休館日 月曜日(祝日または県民の日は開館)

横尾龍彦さん(1928-2015)ってどんな人?

  • お母さんが霊能者。それだけでもなかなかレアな生い立ちと思えるが、ご本人も幼いころに宙に浮かぶ球体を見たという神秘体験をしている。神学校に進まれ、洗礼を受けている。
  • 福岡市生まれ。日本とドイツを行き来しながら創作活動を行い、晩年は埼玉県秩父市にアトリエを構えた。埼玉にゆかりのある人だったんですね。
  • 禅や瞑想に目覚めていき、時代ごとに作風が変わっていく。アポカリプス(キリスト教において黙示あるいは天啓をあらわす言葉らしい。世界の終末という意味もある)が創作における大きなテーマとなっており、作風が変化しても継続的に表現してきた。
  • 絵画だけでなく聖像彫刻や観衆の前で公開制作を行うなど精力的に活動した。(映像を展覧会内で見ることができます)

いざ、展覧会へ

観覧料は一般1,000円でした。平日なので人は少なくとても静かな雰囲気。平日に遊びに行けるのが仕事をしていない者の強みですなあ。(強がり)

入口にはスタッフのお姉さん。1点の絵を除いて写真撮影が可能とのこと。ありがたいですね。

ただこの時は観ている人が私のほかに2~3人で本当に静か(ゆっくり鑑賞できるので良いことですが)だったので、あまりパシャパシャやるのも気が引けて特に気になったものを撮るようにしました。

初期の作品

左の絵は独特な雰囲気の三人。タイトルはそのまま『三人像』とありました。(遠慮するあまり絵のタイトルまでしっかり撮れていない・・・)なんだか進撃の巨人に出てきそうと思ってしまいました。振り向きざまの人の目力が強い。

右が『夜と昼』。絵の説明にも書いてあるのですが、横尾さんは40代のころ常に不安や幻聴に悩まされていたそうです。私自身は無宗教なので一人の神を信じる生活というのは想像が難しいのですが、簡単な道ではないですよね。

暗い夜の世界から必死に明るい世界に出ようともがいているようにも見えるし、神を信じながらも葛藤している自分の心の世界(夜)と圧倒的な神の存在(昼)の対比にも見えてくるようでした。

そして、青の時代へ

70年代後半~80年代前半の作品群。横尾さんはドイツに渡り青を基調とした作品を多く描かれました。その時代を自ら「青の時代」と呼ばれていたそうです。

素人目に見ても一気に作風が変わったのがわかります。

キャンバスを大きく彩る青色は壮大ながらどこか儚げで寂しいような感じも受けます。同じ青でも深い青から薄い青まで色々な世界観を表現することができるのだと感じました。

空を見ると抜けるような青が広がっているのに大地には痛みや苦しみにもがくような人々の顔が描かれているという構図の絵が印象的でした。

禅の体験から新たに形を変えて生み出されていく作品

横尾さんは70年代後半頃から今までの作風に行き詰まりを感じて、禅に傾倒していきます。初期はキリスト教の世界観が強く表れているのを感じましたが、青の時代を経て、徐々に日本の書を感じさせるダイナミックな作風に変わっていきます。

『円相』という名の作品。このダイナミックさを見てください。説明によると禅僧が悟りの境地を示すために描くものを円相図というそうです。

失礼な喩えかもしれませんが、お正月に自宅の玄関を開けてこれがどーんと飾ってあったら縁起がよさそうだと感じてしまいました。

自分という枠組みを超えて

横尾さんは作品に取り掛かる前に瞑想を行うことを習慣にしていたそうです。横尾さんのホームページに以下の言葉が掲載されています。

水に描いてもらう

風に描いてもらう

土に描いてもらう

横尾龍彦ホームページhttp://yokoo.my.coocan.jp/j/framepage.html

自分が描こうと意識するのではなく、自然とつながり自然のままにいればおのずと描かれる。そんなメッセージを感じました。

横尾さんが描き続けたアポカリプス

まとめ

久しぶりの展覧会でしたが、横尾龍彦という画家さんを知ることができて良かったです。

その人の人生を作品を観ながら追体験できるのが展覧会の良いところではないかと思います。

マインドフルネスや瞑想の効果について取り上げられることが増えましたが、美術界にここまで実践されている方がいたとは。

デジタル社会では意識していないとたちまち情報の波に飲まれて色々なことを見失いがちです。久しぶりに瞑想を再開してみようかと思いました。

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この記事を書いた人

駆け出しのブロガー。30代女性。気分変調症で療養中。社会復帰の一歩としてブログを始める。前職は医療事務。読書と映画鑑賞が趣味でオススメの作品を紹介。

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